How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント エリック・シュミット(著), ジョナサン・ローゼンバーグ(著), アラン・イーグル(著)
【書評】一貫した企業文化「自律的思考」とそれを活かすしくみ
このレビューを書いている今現在、Amazonの紹介ページの目次には章だけで節の記載がなかったため、下記に第一章の「文化」の節の一覧を記載したいと思います。
文化 ‐自分たちのスローガンを信じる
社員を窮屈な場所に押し込めよ
仕事も食事も生活も共にする
あなたの親は間違っていた‐散らかっていることはいいことだ!
カバ(Hippo)[*エライ人]の言うことは聞くな
7つのルール[*マネジャーは最低7人の直属の部下を持つこと]
独立採算にしない
組織再編は一日で済ませる
ベゾス「ピザ二枚ルール」
一番影響力の大きな人を中心に会社を作る
悪党を退治し、ディーバを守れ
良い意味の"働き過ぎ"
「イエス」の文化を醸成する
「お楽しみ」より「楽しさ」を
何か着ていればいいよ
アハライ[*「突撃!(命令)」ではなく「ついてこい!(先導)」]
邪悪になるな
※[*]の3箇所は私による加筆
この一覧だけ読んでもGoogleの企業文化が感じられると思います。(この本ではそれを"スマート・クリエイティブの文化"と呼んでいます。)
そして、以降の章で続く、「戦略」「人材」「意思決定」「コミュニケーション」「イノベーション」の全てがこの文化をベースに形成され、相互に働きあっています。
だから、一貫性がある。だから、ウソがない。だから、人を惹きつける。
Googleという会社はそんな会社だとう気にさせてくれるし、仕事にやりがい、生きがいを求める方(楽とか安定ではなく)には、共感と高揚感が得られると思います。
一方で、気になった点が二つ。
●経営者が書いた本にしては、ウラ話や暴露、失敗談などは極めて少なく、良い所どりだ
(一方引用文献が豊富で論理的、学者やコンサルが書いた本のようだ)
●Googleの強烈な個性がベースになっているため、参考にすることが難しいことが多い
例えば、
・スマートクリエイティブが周りに少ない組織では、どのようにGoogleのマネをできるのだろうか?
・Googleではモトローラの買収後、文化のギャップはどのようなもので、どうやって克服したのだろうか?その苦労話は?
・悪党の割合にはティッピング・ポイントがあり悪党の割合が増えると悪党のように行動しなければ成功できない、とみんなが思い問題は深刻化する。とあるが、ティッピング・ポイントに達した組織を浄化するにはどうすればよいのか?
これらの答えを全てこの一冊の本に求めるのはお門違いでしょう。だが、悲しいかな、読者が官僚体質の日本企業に勤めている場合、Googleとスタートラインが違うことを突きつけられることと思います。
とはいえ、企業文化は大切にしたい。まずは、個人、チーム、事業部へ、小から大へと、ミッションステートメントの羅列ではなく、文化、信念を宣言するところから始め、自分たちのスローガンを信じる組織をつくりたい、そう思わされるすばらしい本でした。
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