ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか ランドール マンロー(著)
この本の考察に異論は出てきそう。でも、それも含めて楽しもう
NYタイムズベストセラーに30週以上ランクインし、全世界で100万部突破、科学系の本としては異例の大ヒットを飛ばした本の翻訳版。
著者自身が運営するWebサイトに投稿された、空想的な(ちょっとバカげた、あり得ないような)疑問を、著者が、科学や数学、時には行動心理学などを用いて、答えを導き出す本です。
評判、期待通り、満足の内容でした。
中でも私のお気に入りの内容は以下の通り。
●野球のボールを高速で投げたらどうなるか(P16)
●魂の伴侶が世界にたった一人で、偶然によって決まる、どこにいるかもわからない世界(P35)
●地球上の全ての人間が一箇所に集まり、ジャンプをしたらどうなるか(P61)
●マグニチュード15の地震が起こったらどうなるか。マイナス15ならどうなるか(P369)
●ロンドンからニューヨークをつなぐ橋をレゴブロックで作るにはレゴは何個必要か(P284)
●ものすごく小さい惑星(ドラゴンボールの界王様のイメージ)があったら、住めるのか(P133)
●スパスタ兵の放った矢の多さに太陽が覆い隠されてしまう映画のワンシーンはあり得るのか(P257)
この本を知った時、私は昔読んだ「空想科学読本 柳田理科雄 (著) 」を思い出しました。
日本の特撮、SF、漫画の考察本で「ドラえもんのタケコプターを使ったらどうなるか」「巨人の星の消える魔球を電磁気力で実現したらどうなるか」や、最近だと「進撃の巨人の立体機動装置は使えるのか」に答える本です。
実はこの空想科学読本、かつて何度となく物議を醸し出したことがあります。科学的に誤りがある、根拠が薄い、ある前提を無視している、といった意見です。
本書もおそらく、科学に心得のある方から同じような反論が出てくるかと思います。
しかし、私は空想科学読本の考察に対して、友人とあーだこーだと文句を言ったり、反論を知ることに楽しさを感じていました。
本書も、大胆な考察に挑んだことに敬意を評し、大なり小なりの間違いがあったとしてもあまりイライラせず、著者のユーモアを楽しむくらいが良いのでないでしょうか。
また、科学に心得のある方は、この考察は間違っているのでは?根拠が知りたい!と、自ら調べることに面白さがあるのではないかと思います。
そして、私のように科学に心得がない方には、そんな反対意見を知ることを含めて、楽しむことができるのではないかと思います。
また、著者のTEDのプレゼンもオススメです。後半のGoogleのデータセンターの調査は本書の中には出てきません。Google社と著者とのやりとりは、両者の遊び心とユーモアがよく表れていて面白いです。
このように、現役バリバリの理系の方には、突っ込みどころを探すことに、昔は理科が嫌いだった(または、今理科が嫌いな中学生以上の学生さん)には、ちょっとした脳のストレッチとして、オススメの一冊です。
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